バンビーノ×バンビーナ
どうしてこう……こんなハメになるのか。
このサドな男を誰かどうにかして下さい。
「さん、あんたいい加減に観念なさいよ。」
「いやですー!あだッ!!ちょ!痛ッ!!腕を捻り上げるなー!!」
今日と云う麗らかな日に御機嫌よう。
まぁ実際、今アタシはちっともご機嫌宜しくないですけどね!!
「痛いから!マジで痛いから!!」
「では放してあげますから、ここに署名を・・・」
「それは嫌です!!」
「我侭ですね、あんた。」
それはあんただ!!
目の前にある机の上に広げられているのは、一枚の書類。
一見、何の変哲も無いそれだけど
よーーーく見て下さい。ほら、ここの文字。見えました?
そうです、こう書いてあるんです。
婚 姻 届
何でこんなもんが、ここにあるかって?
そんなん知りませんよ。さっき、いきなり木手ちゃんが持ってきたんですよ。
別に彼氏が婚姻届を持ってきたからって、どうなるって訳でもないですよ、実際。
アタシ達は一応・・・あー、ほら。ね?こう・・・お付き合いなるものをしているわけですが
未成年(中学生)なわけだし。色々無理ってもんです。
でもね、でも。これを持ってきたのはあの木手ちゃんです。
ただのお戯れとか考えられません。
と云うか、この(腕を捻り上げられている)状況を見れば、お戯れなんかでないことは
一目瞭然ですね。はい。
「さんのご両親には承諾印を頂いてるんですから。」
だから後は貴方の署名だけなんですよ。ほら、大人しく署名なさい!
そんな風に云われて大人しく署名する馬鹿がどこにいる!?
しないよ!するわけないでしょ!!
「いやー!つーか、あんたいつの間に家の両親丸め込んでんのよ!!」
「そんなのいつだっていいでしょう!ほら、早くここに・・・!!」
「よくない!それより!アタシ達、まだ中学生じゃない!!」
こんなの書いたって意味無いじゃんか!
無理矢理ペンを握らせようとする木手ちゃんに抵抗しながら
結構重要だと思われることを訴えてみるも、当の木手ちゃんは
「ハッ・・・!」
うっわ!今こいつ、鼻で笑った!小馬鹿にしたような感じで、鼻で笑いやがった!!
「そんな事、大した問題じゃありませんよ。」
大 し た 問 題 だ と 思 い ま す 。
お願いですから大した問題だと捉えて下さい。お願いです、後生ですから。
アタシの必死な願いも虚しく、
木手ちゃんはその意地悪気に口角を吊り上げた表情のまま
「今、署名をさせて来るべき日まで俺が大事に保管しておけばいいだけの話ですから。」
・・・・・・何ですか。人質?契約書??
アタシは齢14にして、永遠の愛をこの眼鏡様に誓わねばならないのですか??
「愛してますよ、さん。」
永遠にね・・・。
そんな怖い笑顔でそんなこと云わないで下さい。
拍手お礼でした。