ピンクベイブ








「うっわ、可愛い!!」


そう言って、俺の相棒を抱き上げる。
普段は人見知りをする筈の仔豚は、初対面なのにも関わらず
そうでは無いかのようにシパシパと千切れんばかりに尻尾を振り
の腕に身を委ねていた。


「あはは。懐っこいね、お前。」


嬉しげに身を寄せる仔豚に笑みを漏らす。
その表情は今まで見たことが無いくらい、穏やかで。
大人げないかもしれないけれど、それを直に向けられている相棒に
少しばかり嫉妬にも近い気持ちが芽生える。


「知念ー?どうしたー?」


恐い顔してるよ?

いつの間にか横に移動してきたにそう言われて手で口元を覆う。
恐い顔・・・してたか?
自覚は無いけれど、その恐いと言われた表情を元に戻そうとしていると
は少しばかり口角を上げて


「この仔に嫉妬でもした?」


いきなり核心を突いてきた。


図星すぎて俺が何も言えずにいると、は腕の中で
眠そうな瞬きを繰り返す相棒を見遣り。


「お前にヤキモチ妬いちゃったって。悪いパパだねー。」


笑顔のまま、こう言った。






パパ……?








「え…?」


の言葉を飲み込めず、目を丸くしていると
そんな俺を見て、は更に言葉を続ける。


「こうして並んでると親子みたいじゃない?」


そう言って、とうとう寝てしまった仔豚の腹を優しく撫ぜるの顔は
本当に慈愛に満ちていて

彼女が言う通り、本物の母親にも見えなくは無かった。


「そう、だな。」


思うまま、肯定の言葉を返すと、は満足そうに目を細め
俺の肩口にそっと頭を乗せた。




親子・・・・・・悪くないな。


嫉妬なんかして、ごめんな。


謝罪の気持ちを込めて、俺はの腕の中で眠る相棒の頭を

そっと撫ぜた。









拍手お礼でした。







 
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