君の全てが








「何かさ、不公平だよね。」

「何が?」


愛しい彼女に口付けを落としながら、慣れた手付きでシャツのボタンを外してゆく。
音も無くホールに身を潜せ次第に肌を露にさせる。
その途中、彼女 ― が不意に「不公平だ。」と呟いた。
一体何が不満なのか。眉間に皺を寄せ、唇を尖らせている。
彼女の言葉の意味が分からず、首を傾げる知念だったがツンと尖った唇を見逃さず、
すかさず啄ばむようなキスをする。その時も、ボタンに掛けた手は止まることは無い。

すっかり肌蹴たシャツは知念の手によって脱がされ、外気に粟立つ肌の上を滑ってゆく。
大きな、掌の荒れた、男の手。
背筋をなぞり、わき腹を辿り、やがては胸へと収まったそれを見て
はまたもや「不公平。」と眉を寄せる。


「ねぇ…アタシの胸ってさ、小さくは無いと思うんだよね。」

「ん?あぁ、そうだな。」


レースの布に覆われた、柔らかな膨らみ。
添えた手に力を入れればそれはたちまち形を変え、知念の劣情を煽る。


「でも、寛の手は大きいから
 アタシのサイズじゃ足りないっぽく見える…だから不公平。」

「そんな事ない。」


の口から漏れた、可愛らしい不満。年頃の少女ゆえの悩みなのだろう。
けれど、を愛おしいと思う知念にとってはそんなことは微々たることで、
正直に言えば、全く気にならないこと。


「本当に?物足りなく無い?」

「全然。それに、ならまだ育つだろ。」


口元に笑みを浮かべながら、知念が囁く。
肌に掛かる吐息にがピクリと小さな反応を漏らし、むっつりとしていた表情が一瞬だけ溶け消える。


「育つって…寛が揉むから?」

「いや、そうじゃなくて。はまだ成長期だろ?
 だから、まだ大丈夫。心配するな。」


言いながら、薄く開かれた彼女の唇に自分のそれを重ね、そっと食む。
触れた膨らみよりも柔らかな唇。その隙間に舌を滑らせのものと絡ませる。
温かな口内で睦み合う粘膜。時折漏れる水音が
くちゅり、と鼓膜を震わせるたびに体温が一度ずつ上がっていくような感覚さえ覚える。

愛しい、愛おしい。

最早脳内、否、体中の全てが相手を恋うている。
君の全てが愛おしい。

曝け出された肌。口付けを交わしながら、邪魔なものを取り払い
小さな体を抱き締める。柔らかな四肢。その形を指先で、掌で確かめて大事に大事に理性を紐解いて。


「・・・。」


名前を呼んで。その目に自分を映させる。

物足りないなんて、在り得ない。

君が俺を好きだというのだから。
君が俺を想って拗ねてくれているのだから。

それだけで。ほら、心はこんなにも満たされる。



 







最初はこれ、蓮二さんで書いてました。
いつの間にか寛になってた。不思議ー。
寛は本番よりも、その前の過程を書くのが楽しい子です。
要するにイチャついてるところを書くのが好き。

06/0301


 
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