来る日も来る日も仕事に追われて
過労死するんじゃ無いかってくらい毎日を慌ただしく過ごしていた


そんな時。


やっと今取り掛かってる仕事に目処が着いたと思った矢先に鳴った携帯。
素早く手に取って、通話ボタンをプッシュする。
誰から掛かってきたのかなんて、ディスプレイを見なくたって分かる。
だってこの着信音設定にしてあるのは一人だけなんだから。












Break Time















「お久しぶり、チィくん。」


久方ぶりの訪問者を、笑顔で招き入れる。
するとチィくんも少しはにかんだような笑みを浮かべ、「お久しぶりです。」
と頭を下げた。相変わらず礼儀正しいね、君は。

チィくんこと知念くんは中学生だけど、正真正銘アタシの彼氏です。
正直、自分の年齢から言って淫行なんだけど
そこは愛があるので忘れようと思います。愛があるから大丈夫です!

彼専用のスリッパを出して「コーヒーしか無いけど、飲む?」と聞くと
「貰います。」と返事が返ってきたので、こちらも彼専用のカップを取り出して
淹れたばかりの液体を中に注ぐ。

リビングに入って来たチィくんは、ソファの前に置かれたテーブルの上に
ノートパソコンと書類が散乱しているのを見て眉を顰める。


「さん、仕事中だったんですか?」

「ん?あぁ、うん。でも目処はついたから。」


答えながら、淹れた二つのコーヒーの一つに牛乳を多めに注いで、チィくんに手渡す。
彼が其れを受け取り口を付けるのを見て、アタシもソファに腰掛ける。
そして、自分の頭と同じような位置にある彼の肩口に頭を寄り掛からせて
コーヒーをすすった。

微かに鼻孔をくすぐる、久しぶりの彼の匂い。
心身共に疲れきっている今、近くに好きな人が居る事が嬉しくて
猫のように彼に体を摺り寄せた。

チィくんの指が、掛けていた眼鏡のフレームにかかり
ゆっくりと絡めとリ、外してゆく。
レンズが無くなって微かにぼやけた視界。
カチャリ、とテーブルに眼鏡が置かれる音がして
それとほぼ同時に、近づいて来た彼の唇に、アタシの唇は塞がれた。

少し長めのキス。

唇を離す際にお互いを見詰め合って、照れくさい笑みを零す。
愛おしむように頬に添えられた手は、存在を確かめるようにぎこちなく肌の上を滑り


「…隈が出来てる。」


言葉と共に目の下へ辿り着いた。
え、マジですか。隈なんて出来てる?


「寝て、ないんですか?」

「そんなことも無いけど…睡眠時間は少ない。」


アタシの言葉に、彼は呆れたような溜め息を小さく吐く。
けれども触れる指先は、溜め息とは逆にとても優しい。
その触れられる感触が心地良くて、うっとりと瞳を閉じる。
ずっとパソコン画面と睨めっこしていたせいで、目と脳が相当疲れていたようで、
軽く閉じただけのつもりなのにチィくんの愛撫(こう言うといやらしい)との相乗効果なのか、
次第に意識がぼんやりとしてきて。

弱い力に引き寄せられたと思ったら、ぐらりと体が傾いて。

気が付けば、チィくんの長い足の上にあるアタシの頭。
え?膝枕?


「このまま寝ちゃってもいいですから。」


さらり、とチィくんの長い指が優しくアタシの髪を梳いてゆく。
その行為もたまらなく気持ちが良くて、思わず彼の言葉に甘えそうになりたくなったけど
折角来てくれたのに、一人放って寝るなんて出来るわけがない。


「よくないよ。気持ちは有り難いけど。」


そう言って、身を起こそうとするけれど、それは
チィくんの腕によってやんわりと阻止されてしまう。


「チィくーん、やばいって。本気で寝ちゃうって。」

「だから寝ていいです。」

「駄目です。君を放っておくなんて出来ませーん。」

「いいんですよ、俺は。」


張りのある声が、アタシの中で響く。
チィくんは、アタシの前髪を掻き上げて露になったそこに唇を落とす。
そして、アタシと視線を交えさせると追い討ちをかけるようにこう言った。


「俺はいつも甘えさせて貰ってるから…。」


今日はさんが俺に甘えて下さい。

穏やかに微笑む彼の瞳は、中学生とは思えないくらいに落ち着いていて
温かな光を宿していた。
けれどそれとは全く反対に、その頬は赤く染まっていて、そのギャップがあまり
にも可愛かったのと、彼の優しさが嬉しくて自然と微笑みが浮かんだ。
あぁ、もうアタシの負けです。


「有り難う。」


手を伸ばして赤い頬に触れると、思った通り熱くて。
恥ずかしそうに瞳を伏せるチィくんの輪郭をそっとなぞり


「大好きよ。」


そう思いのままに伝えれば、チィくんは更に顔を赤くしながらも


「…俺も、さんが好きです。」


こう言ってくれた。


有り難う、今はその言葉が何よりも嬉しいよ。


忙しさでささくれた心にチィくんの気持ちが染み込んで、じんわりと癒してゆく。


うん、これで明日からも頑張れる。


そう確信出来たから。


今ある最高の感謝とチィくんを愛しいと思う気持ちを込めて

チィくんのシャツの襟を掴んでゆっくりと引き寄せた。

















働くお姉さんの癒しになるようなもんを書きたかったけど玉砕。
ただいちゃこいてるだけ…うん、いつものことですよ。
下の名前が明かされたら、チィくんから名前呼びに変えたい。

05/0411


 
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