良い匂いがしたから、それが知らない匂いだったから、聞いてみた。
そしたらは


「お香だよ。香水より、こっちの方が好きなんだ。」


と言って、細いそれを1本、俺にくれた。


「線香みてぇ。」


素直な感想を述べたら、は怖い顔で俺の頭を叩き


「やっぱり返せ!」


そう言ったけれど、俺は返さなかった。
だって、当然だけど、細ッこいコレからは、好きなヤツと同じ匂いがしたんだ。


返すわけ、無いだろ。








Incense









風呂上り、ふと昼間、から貰ったものの存在を思い出して
引き出しからおもむろにライター(蚊取り線香用)を取り出し、早速点火。
火を点けた所から、ふわりと細い煙を上げるそれを
灰を捨てた蚊取り線香置きに入れて、俺はベッドに転がった。
細い、細い煙が燻る。それに乗って、匂いも広がる。


あー…すっげ、良い匂い。


そう強くは無いけど、確かに鼻孔を擽る不思議な香り。
数分もすれば、その香りは部屋中に満ちて、俺を包み込むようにして漂う。
布団に四肢を投げ出したまま、瞳を閉じれば香りを、より鮮明に感じて
まるであいつ、がすぐ傍に居るような錯覚さえ覚える。


そして記憶はフラッシュバック。


数時間前に見たの笑顔とか、聞いてた声とか、白い肌とか…。
以前、ふざけ(たフリをし)て抱き着いた時の、あの柔らかな感触を思い出して
瞬時に、俺の心臓は跳ね上がる。


やばい。良い匂いだけど、これは真面目にヤバイ。


早まった脈、そこから生まれた熱が一部に集結するのを感じて
慌てて目を開けて体を起こすも、時すでに遅し…!!
すっかり元気になってしまった、オレ。
簡単単純な自分に呆れるけれど、これはどうしようもない。(だって男の子だもんさ)
つーか、もうこうなったらアレをするしかない。


これは俺のせいじゃない。が良い匂いなのが、悪いんだ。


自分に暗示をかけるように頭の中で繰り返し、大きく息を吐くと
もう一度瞳を閉じて、の香りを濃く感じながら


俺は下半身に手を伸ばした。







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