練習試合の日曜日
今日の相手校は結構強豪ってんで有名で

気合い入れなきゃいけねぇっつーのに

勝たなきゃ木手にゴーヤ食わされるっつーのに


違うことが気になって


全然集中出来ないんスけど。


どうするかなー。















Sunny Day Sunday














    







集合時間まであと数分。
遅刻なんかしたら間違いなく木手にネチネチ嫌味を言われるからな。

それだけは勘弁と、欠伸を奥歯で噛み殺しながら、部室への道のりを急ぐ。
その途中、視界の端に見慣れた後姿を見つけて
ふと足を止めた。

花壇に腰掛けた、女子。
あれってもしかして…




「ちゃん?」




ポツリ、と名前を呟くと、ちゃんと思わしき子が同じタイミングで横を向いて。
俺の声が聞こえたのかと思って、思わず身構えたらそう言うわけじゃなくて
彼女は校庭の端にある時計を見ていただけだった。

なんだよ、びびった…。

別に悪いことは何もしてないのに、彼女に気付かれるのが何となく嫌…っつーか
気まずくて。飛び跳ねた心臓を心臓を落ち着かせようと、シャツを握り締めて深く息を吸う。


落ち着け、俺!


それにしても、さっきの横顔は間違いなくちゃんだった。うん。
でもさ。今日は休日だぜ?何でこんなところに居るんだよ。

もしかして。

一つだけ、思い当たる節があるけど、多分絶対違う。

ちゃんはじっと時計を凝視していた視線をゆっくりと下ろして
顔の位置を戻すと、今度は真正面を見詰め始めた。

何?何か面白いもんでもあんの?
って、あー…お決まりだけど、テニスコートだー。


もしかして、もしかしなくても

応援

来てくれた?


何だよ。あんだけ興味なさそうな素振りしてたくせに。
あんだけ「めんどくさい」って言ってたくせに。
何だよ。


来てくれたんだ。


嬉しい、マジ、すっげー嬉しい。


なかなか上がらなくて困っていたテンションが一気に高まる。
しゃ!これなら、今日の試合ぜってー勝てる!


上がったテンションに身を任せ、部室へと向かっていた軌道を逸らして
ちゃんの居る方へと駆け出す。
そう遠くないこの距離は、現役テニス部の俺にしたら些細な距離で、あっと言う間に
彼女に近付く。


「おっはよー!ちゃん!!」


すれ違い様に名前を呼んで


「っわぁ!」


被っていたキャップを勢いよくちゃんに被せると、彼女が驚きの声を上げる。


「甲斐!?びっくりした!!」


視界を覆ったキャップのツバを持ち上げて現われたのは、まん丸になったちゃんの目。
あはは!いいね、その表情!!


「来てくれたんだ?」


覗き込むようにそう言うと、彼女は気まずげに瞳を逸らして
俺の疑問を確信に変えた。


「俺、頑張るから。」

「ん…無茶はしないように。」


少しだけ、不本意そうな口調。素直じゃないなぁ。
まぁ、そこが可愛くて好きなんだけどな!


「それより、コレ。」


乱れた髪を直すちゃんから渡されたキャップ。
自分の頭に乗せようとしたソレを、俺は少し考えて、もう一度彼女に被せた。


「わ!」


何?と慌てて取ろうとするちゃん。


「いーよ。被ってろって。」


俺は、キャップの乗った彼女の頭に手をポンとおいて、言い逃げ上等で部室に駆け出す。


「えッ!?ちょっと、甲斐!!」


後ろから聞こえるちゃんの声。

今日は日差しも強いし、外で見てて俺の試合前に倒れたりしたら大変だろ?
折角来てくれたのに、そんなんなったら最悪っしょ?

ちゃんと見ててよ、俺の勇姿。

マジで頑張るからさ!




あー!今日、試合に勝ったら告っちまうかな!!

 


 









甲斐きゅん。
この夢文は『マメミムモ』のまめ藻様のイラストを元にイメージして
書かせて頂きました。
まめ藻様、この度は許可して下さり、有り難う御座いました!!

それなのにこの出来で申し訳ありませ…!!

05/0420


 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送