デコボコ★フレンズ 〜楽しき3バカの日々〜






彼女が転校して来たのは、一体いつだったか。
其れは大して遠くない過去だったと記憶しているが、その真実を笑い飛ばしてしまえる程
彼女、はこの島に、この場所に馴染んで居た。
彼女は日々高らかに唇から笑声を発し、転げまわる様に日々を過ごしている。
今日も今日とて


「あっはははははははははははははは!!」


目尻にうっすらと涙を浮かべながら、級友でもあり古くからの友人でもある知念寛から
何故かジャイアントスイングをされていた。
無表情で彼女を足を脇に挟み軽々と振りまわす知念の横には
と同じく大爆笑しながら回転数をカウントする甲斐の姿。
察するに、どうやら彼らは今、ジャイアントスイングをどれだけ耐えきれるか
回転数で勝負しているらしい。
一体何をどうしたらそう云う行動に発展するのか。全く以って理解に苦しむ彼らを視界に収めながら
意外と常識人の金髪・平古場凛は唇を笑みの形に吊り上げた。

さぁて。そろそろ時間か?

チラリと横目で見上げた時計に刻まれた時間。
日々生ずる、この3人が繰り返す嵐のような奇行を止められる唯一のストッパー。
几帳面な性格の彼がそろそろ姿を現す頃と、
顔を支えていた腕を持ち上げて、きつく両耳を塞いだ。


「知念くん!甲斐くん!!さん!!! 何してんですか!!!」


瞬間、まるで落雷のような怒声が響き渡り
それに身を竦ませた知念の腕から一瞬力が抜け、あろう事かその腕に掴まれていたの体が

ポーン

と勢い良く壁に向ってすっ飛んで行った。
妙な悲鳴がドップラー現象的に耳へ届くが、それを気にも留めず
ストッパーこと我等が主将・木手永四郎は残された二人に怒声を浴びせている。
少し遠くから「え、痛い!ちょういたい!!何コレ、いたい!!」とボケ過ぎた悲鳴が聞こえてくるが
それも無視。


「毎日毎日、何やってんですか!アホも休み休みになさい!!
 一日くらい大人しく過ごせないんですか!!!
 もう中学三年生でしょう!節度と落ち着きを覚えて下さい!!!
 ほら、さんもスッ転がってないで、こちらへ来て正座なさい!!!」


木手の口から発せられる、まるで母親のような小言を受け
正座で項垂れる3人の姿は見慣れたもので。

永四郎の小言じゃねぇけど、どうして学習しないかねぇ。

耳に添えた手を離し、長い足を組替えながら
凛は苦笑とも取れる笑みを浮かべ、始めそうしていたように頬杖を付いた。

青空の下、緩やかに流れる日々はと云う転校生の出現により終止符を打ち
まるでパズルのピースが合わさったかのように、あるべき姿へと戻ったかのように、
飽きること無い賑やかな日々へと形を変えた。

長い睫毛に縁取られた瞳は四人を見据え、楽しそうな弧を描く。
騒がしくも幸福な日常の、小さな嵐を傍観する側へと身を置いた凛は
常であった欠伸を噛み殺すと云う事もせず、ただ愉快そうに目前の喧騒を眺めていた。








ずっと書きたかった3人の馬鹿シリーズ。の序曲。
多分、もっそりと続きます。

06/1218


 
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